リィス/マルチナ





育海さんが書いてくださったリィスとマルチナ。
天女の羽衣って感じで!! 16歳とは思えない凛々しさと色っぽさに、おもわずキャラ設定したはずの私がくらくらと。リィスとマルチナはネタバレ度があまりに高いので、絵の隣にある詩、本文未読の方は見ないほうがよろしいかとー。
ああ、でも本当、奇麗な二人をありがとうなの!嬉しくて、絶叫ですー!


イメージ短編小説

 ゆらゆらと、揺れている。
 あやふやな場所。
 全てが揺れて、確実なものを手放して、ただひたすらに”あやふや”でありつづける場所。
 眼差しを閉じた。


 今、この瞬間に、この場所に佇むのは誰だろうか?
 私? それとも別の誰か?
 静かに腕を持ち上げる。己の意志の通りに腕が動くならば、それは今、私が私であるという証拠だろう。
 呼ばれる声に、僅かに目を上げた。
 間違いない。それは”自分”を呼ぶ声。


 眼差しをあげて、ゆうるりと立ち上がる。
 あやふやだった周囲が溶けて。
 そして―― 現実を手に入れる。
「リィスアーダ姫?」
 誰かの、声。
 私を呼んでいる誰かの。
 だから静かに微笑んだ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今は眠るの。
 私が私であるために。眠って、今は静かに時を待つの。
 ”私”が呼ばれることがあるから。
 今、私の意志で、手は持ちあがらない。
 あやふやだった気持ちは急速に途切れて、今、ひたすらに眠い。
 休息、あるいは停止。
 命が停止するのではない。
 ただ――私、が停止する。
 「おやすみなさい、マルチナ」
 最後に聞こえた言葉。
 そう。眠るの。
 私が、呼ばれる、瞬間まで。