エアルローダ
フリーク堂の茉莉花さんから頂いた画像。
赤い憎悪と、静寂と。
エアルローダ自身はいかに静けさに包まれていても、彼を覆う憎悪は決して消えない。
そんなイメージが前面に出ているようで、凄く、頂いて見た瞬間に目を見張りました(><)
小説のキャラのイメージを取って貰えるのは凄く嬉しくて、そしてとても光栄なのです。ありがとう!!
イメージ短編小説
雨が舞い落ちてくる。
譲り葉の、新芽のかわりに命終えようとする黄色い葉の奥から。
しとしとと、落ちてくる。
「空が泣いているのね」そう言って、女が泣いた。
「まるで、この払いようのない絶望に、呼応しているみたい」続けていって、また泣く。
愚かしい、というよりも。如何にも都合が良すぎて、小さく笑んだ。薄い――
目の前の女と良く似た唇を歪めて。
「雨ではない時もある。晴れの日だって、ある」
泣く。女が泣く。だから背に、言葉を投げる。
――
聞いていないことは知っているけれども。
生まれ落ちた瞬間から、己を見る者など存在せぬことを、悟った。与えられるのは、過激なほどの望みだ。暗く闇に塗り固められた、憎しみの成就の祈る女の狂気だ。
「エアルローダ、空が、泣いているのよ」
聞いていない。何一つ、発する言葉を聞こうともしないくせに、こうして話し掛けては来る。
―― 返事を求めぬくせに。
―― 答えなど欲してもいぬくせに。
「雨が降る。それは自然現象にすぎないよ」
あえて、現実を告げる。
意味がないことを知りながら。一体、この自分の行動にはどういう意味が隠されているのだろうか?
自分を見ぬ母親に。
向けている精一杯の抵抗だとしたら。
「なんて、愚かな」
雨が降る。
しとしと、細かな雨がさざなみのように舞い下りて、気づけは人を完全に濡らしていく。
女を置いて、少年は歩き出した。
ふうわりと持ち上げた指先が発光すれば、そこには別空間が広がる。――
復讐の為に、情報を得る為に、与えられた魔力の使用方法の一つ。
光に満ちた場所。
「日向の匂いがする」
そう呟いて、少年は眼を細める。
狂気が渦巻いている。
一体何処に正気が残されているのか。
歩く。ゆっくりと、正確に。
――― そして、灰燼が全てを消した……。